胃腸炎とは、胃、小腸、大腸の粘膜に生じた炎症のことです。通常は微生物が感染することで起こりますが、毒性のある化学物質や薬の摂取が原因で起こることもあります。特に、冬にはノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎、夏にはサルモネラなどの細菌性胃腸炎が多く、典型的には、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛がみられます。

急性の胃腸炎が治った後も、食欲不振が残っていたり、また胃に異常がないのに、慢性的に胃痛や胃もたれなどが起こる病気・消化性潰瘍は心理的ストレスによって胃の壁が胃酸で溶かされてしまう病気、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)とあります。

そこで、漢方の出番です。

中医学的には、舌診を重視し、舌についている苔や色、においを総合的に診断し、処方します。

「六君子湯」は基本的に虚証の方に適用があり、胃腸虚弱が原因の食欲不振、吐き気、腹部膨満感に効果的です。四君子湯に陳皮(ちんぴ)と半夏(はんげ)を加えた処方です。内臓を温めて働きを活発にし、身体の力をつけながら気と水を下ろす効果が期待できます。

 

「啓脾湯」は基本的に虚証の方に適用があり、体力の低下している人で軟便・下痢(どろどろした泥状の便あるいは水の様な便)の症状に好適です。からだを温め、胃酸の分泌を抑えて胃腸の調子を整え、むくみを取り、下痢を止める効果が期待できます。また、嘔吐や腹痛などを伴う場合にも処方されます。