風邪とは、鼻やのどに起こる急性の炎症の総称で、医学的には“風邪症候群”と呼ばれる誰もが一度はかかるとされるもっともポピュラーな感染症です。

具体的には、鼻・咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)からなる「上気道」と、気管・気管支・肺からなる「下気道」の両方に炎症が起こることを言います。

残念ながら、風邪自体を治す特効薬はありません。
そのため、病院では「高熱を下げる」「咳を鎮める」「喉の炎症を鎮める」といった、今出ている症状を和らげるための薬を処方します。これを「対症療法」と言います。

風邪を長引いて、「微熱」、「だるい」、「乾いたぜき」などに漢方薬は大きな力を発揮します。

「麻黄附子細辛湯」は風邪のひき始めや気管支炎に用いる漢方薬です。「麻黄」は発汗・発散作用をもつ代表的な生薬であるとともに、西洋医学の気管支拡張薬と同様の作用をし、咳や喘鳴を防ぎます。これに、体を温め痛みを和らげる「附子」と「細辛」とで構成されます。

倦怠感と悪寒が著しく、微熱、めまい、ふしぶしの痛み、頭痛などをともなうときに用います。インフルエンザ感染にも有効です。

 

 

「麻杏甘石湯」は咳を鎮める強い作用を期待して処方されたり、気管支喘息の発作時の頓服薬として古くから用いられ、

小発作から中発作の比較的早期に使われる漢方薬です。大人だけでなく、小児喘息にも用いられます。また、かぜが長引き、乾いた強い咳が残る場合にも使用されます。